突然法務局から「長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」が届き、
驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
現在、長期間にわたり相続登記等がなされていない土地について、
相続登記の申請を促すための通知が法務局から相続人に対し発送されています。
日本では所有者が不明の土地が多く、その土地の面積は九州本島を上回るといわれており、
将来的には北海道の面積に迫ると推計されています。
なぜ、このような問題が起こるかというといくつか理由がありますが、
最も多い原因は相続登記をしていない土地が多いためです。
現在の法律では、相続税申告のように期限が定められておらず、相続登記を放置していても罰則はありません。
そのため、費用を抑えるという理由で相続登記がされないということがあります。
また、相続登記をしようとしたが、放置している間に新たな相続が起こって法定相続人が増えたり、
相続人の判断能力が低下し遺産分割協議が出来ず、手続きを諦めるということもあります。
このような問題を解決するため、平成30年に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が制定され、
その一環として、相続登記等が30年以上されていない土地につき、法務局から相続人に対し上記通知がされることに
なりました。
「長期間相続登記等がされていないことの通知」を受けたからといって
相続登記を必ずしないといけないというわけではありません。
しかし、義務ではないから相続登記を放置してよいというわけではありません。
相続登記をせず、放置しておくことにより、以下のような問題が出てきます。
□ 売却が出来ない
□ 不動産を担保にお金を借りることができない
□ 現在の相続人の死亡により法定相続人が増えて、名義変更が更に困難になる
□ 自分の名義ではないのに、固定資産税等を支払わなければならない
など、相続登記をしないデメリットは多分にあります。
また、東日本大震災などの大災害の復興作業で、土地の整備をしたくても所有者の特定が出来ないため、
復興作業が円滑に進まず大幅に遅れているという社会問題もあります。
相続登記をしないでいることは、上記のような問題を自身の子や孫の代に押し付けることになってしまうため、
早めに申請しておく必要があります。
通知を受け取られた場合、法務局へ行き、現状の把握をする必要があります。
法務局では、どの土地が誰の名義になっているか、名義人との関係(子、孫、曾孫、甥姪など)を確認することが可能です。
通常の相続登記では、戸籍調査を行い、亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍や相続人の戸籍などの添付書類を
用意する必要がありますが、法務局で法定相続人の一覧図が備え置かれているため、作成番号を提供することにより、
改めて戸籍の調査をする必要がなく、この機会に相続登記をすることは相続人にとってもメリットがあるといえます。
当事務所では、権利関係が複雑な相続登記手続きも多数受任・解決しておりますので、
通知を受け取られた方は一度ご相談ください。