相続放棄とは、被相続人のプラスの財産だけでなく、マイナスの財産もすべて相続しないという手続きです。
相続が開始した場合、法定代理人が法定相続分にしたがって遺産を相続することになります。
その遺産が不動産や預貯金等のプラスの財産だけであればいいのですが、借金等のマイナスの財産も当然に相続します。
この場合、マイナスの財産よりもプラスの財産の方が多ければ問題になることはあまりないのですが、
マイナスの財産の方が多い場合はご自身の財産から被相続人の債務を支払っていかなければなりません。
そのようなマイナスの財産が多い場合、「相続の開始を知った後3ヶ月以内」に家庭裁判所へ申述することにより、
すべて相続しないとすることができます。
相続開始後に被相続人の財産を処分したり、相続の開始を知った時から3ヶ月を経過すると、
単純承認事由により相続放棄をすることができなくなりますので、
相続放棄をお考えの方は、相続財産に手を付けず、またなるべく早めに専門家にご相談ください。
1号 |
相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。 ただし、保存行為及び第六百二条に定める機関を超えない賃貸をすることは、この限りでない。 |
2号 | 相続人が第九百十五条第一項の期間内(自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内)に限定承認又は相続放棄をしなかったとき。 |
3号 |
相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。 ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。 |
□ 借金を相続されたくない方
□ きちんと相続放棄が受理されるかご不安な方
□ 管轄の裁判所が遠方の方
□ 相続財産を調べているが、3ヶ月以内に判明しない方
□ 相続開始から3ヶ月以上経過後に、債権者から請求を受けた方
□ 現状、相続財産はマイナスの方が多いが、被相続人が過去に消費者金融から借入をしており、
過払い金が発生している可能性があるため、調査してほしい方
① 負債を相続せずに済む
被相続人に借金などがある場合や連帯保証人になっている場合、
相続人がその返済をしたり、連帯保証人の地位を相続します。
しかし、相続放棄をすることにより、そのような責任を負う必要がなくなります。
② 特定の相続人に遺産を集中させることができる
遺産を相続する相続人以外の相続人が相続放棄をすることにより、遺産を集中させることができます。
遺産を集中させる方法として、遺産分割協議によって特定の相続人がすべて相続するとの協議も可能です。
しかし、後日、被相続人に借金等の負債があることが発見された場合には、債権者にその旨を対抗することができません。
そのような後日の問題を防ぐために、何も相続しない相続人は相続放棄をすることで遺産相続から解放されます。
ただし、相続放棄をすることにより、次順位の相続人が出てくる場合があるので、
必ず事前に専門家に相談をするようにしてください。
③ 遺産分割協議に参加しなくて済む
被相続人と不仲だったり、離婚等により疎遠になっていたため関わりたくない場合、
付き合いの無かった叔父叔母の相続人になったが何も相続する意思が無い場合も
相続放棄をすることで相続人ではなくなるので、遺産分割協議に参加しなくてもよくなります。
① プラスの財産も相続できない
遺産の中に居住している不動産がある場合には、相続放棄をすることにより相続人ではなくなるので、
家を出ていかなければならなくなる可能性があります。
また、先祖代々受け継いでいる財産も一切受け取ることが出来なくなります。
このような自宅や先祖代々受け継いでいる財産だけはお金を払ってでも残したい場合は、相続人全員で『限定承認』の申述をする必要があります。
② 相続放棄後も管理継続義務がある
民法第940条第1項では、「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始める
ことができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」と
規定しており、相続放棄をした後も、財産を管理することを義務付けています。
そのため、相続放棄が受理された後でも、次順位の相続人に相続財産を引き継ぐまで管理を継続する必要があります。
なお、この規定は、民法等の一部を改正する法律により、以下のように改正され、現に占有している財産のみ、
保存義務が課せられることとなりました(施行日は令和5年4月1日)
改正後民法第940条第1項 「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、 相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、 自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。」 |
A.相続開始を知った時から3ヶ月を経過したとしても、事情によっては相続放棄をすることが可能な場合がありますので、
まずはお気軽にご相談ください。
A.被相続人の子が相続放棄をした場合、代襲相続はありませんので、長女の子(孫)は相続人とはなりません。
子が相続放棄をした場合、孫がいても、第2順位の直系尊属、第3順位の兄弟姉妹へと、相続権が移ります。
A.生命保険金は、保険契約に基づき受取人が保険会社から受け取る、受取人固有の財産となります。
そのため、相続財産を構成せず、保険金を受領することは可能です。
しかし、被相続人自身を受取人と指定されていた場合には、通説は、「保険金請求権は、一旦被相続人に帰属し、
相続財産として相続人に承継される」こととなります。
そのため、受領したり、受領した保険金を処分した場合には、
単純承認事由に該当することとなりますので、ご注意ください。
A.判例は、葬儀費用を相続財産から捻出することは、
法定単純承認事由たる相続財産の処分(民法第921条第1号)に該当しないと判断する傾向にあります。
A.医療費は相続債務となりますので、相続財産から相続債務を弁済すると、相続財産の処分に該当する可能性があります。
しかし、相続放棄をしようと考えていたとしても、生前お世話になった医師や医療関係者には迷惑をかけたくないと
考える方は多くいます。
相続財産から支払わず、相続人自身の財産(相続人の固有財産)から支払うのであれば、相続財産の保存行為となり、
単純承認事由には該当しないことになりますので、もし支払う場合には、相続人自身の財産から支払うようにしてください。
A.遺族年金も未支給年金も相続財産には含まれませんので、受け取ることが可能です。
A.相続放棄の申述受理は、相続人の相続放棄をする意思表示を家庭裁判所が公証するものです。
相続放棄の申述受理の審判がなされた場合であっても、債権者は、民事訴訟において、
相続人に対し、被相続人の債務を相続したとして訴訟提起をすることが可能です。
この場合、相続人は相続放棄の効力を抗弁として主張立証することになります。
そのため、もし民事訴訟を提起されたとしても問題が無いように、相続財産の処分等はしないように注意してください。
サポート | 内容 | 料金 |
相続放棄申述書作成 | 相続放棄申述書作成、家庭裁判所への提出 照会書の記入支援 相続放棄受理証明書の取り寄せ |
55,000円 2名以降は1名追加ごとに 22,000円加算 相続開始から3ヶ月経過後の場合、1名ごとに33,000円加算 |
相続の承認又は 放棄の期間の伸長 |
相続の承認又は放棄の期間の伸長 申述書作成、家庭裁判所への提出 |
33,000円 |
相続放棄・限定承認 の有無の照会 |
相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会申請書作成 家庭裁判所への提出 |
22,000円 |
(財産調査で必要な場合) 信用情報の開示請求 |
信用情報機関へ信用情報の開示請求 | 1社ごとに11,000円 |